good one

はじめてGWANさんのライブを聴きに。
一曲目、ボロロン‥‥と『存在の確認』だ。
いきなり確認されちゃうのだろうか、と不安がよぎるものの、そうではなくて「あっちの」「あっちには」とゆっくり指をさすように、世界を眺めわたす歌だった。かわいらしい女の人をうたった歌や、『酒飲みの唄』みたいな曲もよかった。ジャブジャブ酒を飲んでこないとうたえないような歌だと思う。酒飲みは仕方ない、ゆるしてやってよ。ぼろぼろだけどそれが幸せなんだよ。人はみな愚かなものだよ、と。それから『窓』。「まど」ということばをくり返す印象的な歌だ。「好きなので歌ってみました」人の作った歌も歌えるようになってきた、と はにかむような笑みで。
でも それだけじゃなかった。
ベルトルト・ブレヒトの『あかんぼ殺しのマリー・ファラー』。長い曲で、しかもテーマがずしりと重い。悲哀をたっぷり含んだ、8分間の小劇。ギターの最後の音の余韻に「あなたはどう思いますか?」の問いが感ぜられた。

私は前の記事で「(人と人が)触れたときには、小さな火花がチリチリ散る。」と書いた。GWANさんの曲でそれは、「草と草のふれあい」として歌われている。名もない草と草が、風にゆれてふわっとふれる。そういう出会いの優しさを漂わせた曲を、アンコールとして。ちょうどよかったと思う。
‥‥終わりからまた始まる。出会いとともに始まる。

カフェのドアを開けると、そこは真冬の街。北風をくぐり抜け、家にたどりついた私は、ライブの余韻を「湯たんぽ」がわりにして、眠りについた。
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