めぐってきた日

中島さんとの共同制作、その初めての試みが終了し、音と絵による新世界がひとつ生まれた。私はもう次の制作で頭がいっぱいだ。
あれから1年。人々の未だ生々しい記憶とともにある、
あらゆる思い、私の思い。
すべての悲惨と不幸に向けて、私自身の心の中から紙の上へ、新しい線を紡ぎ出すことを決心した。自らにおいて忘れぬことのないよう、心に刻み、鎮魂の祈りとともに、ひとつひとつの線を
まっさらな紙へ刻みつけよう。

展覧会へ出品するためには、時間が残り少ない。それでも描く。
そもそもはのんびり気楽に描くつもりだった。しかし今。
特別なわき上がる思いはどうしても止められない。避けられぬ。
それで何かを変えられるわけではない、わかってはいるけれど。

ただ絵を描くことで祈りたい。
この数日の、この一年の、日本中の世界中の多くの祈りとともに、
私の心もそこへ添えたい。