カンバス湖

諏訪に行って御神渡りを見た。
最高気温でさえ零下である。
露天風呂の床も凍る。

諏訪湖は雪と氷で真っ白であった。
四方を街と山々に囲まれ、真っ平らに、ぽかんと広がっている。
見ているとそれは、ますます1枚の「カンバス」に思えた。
私は広い空間を見るたびに、夢想している。

「ここに絵を描くとしたら‥‥」
「この広さなら宇宙から見えるだろうか」

ふだん 小さな絵を描きながらも、心では地球をカンバスに見立てている。
スケール観と、絵に封じこめる宇宙 その交感が、ペン先から流れて紙にとまる。

私には、白い紙も 諏訪湖も 地球も 同じ「奇想パイプ」でつながっている。



話のついで、「サマの流儀」のようなものをメモしておこう。

◎愚かに素直、面白きをもとむ。

◎描く行為も、できた作品も、人とのコミュニケーションと共にあるべき。

◎心の底にのこる絵。何度も想起される絵。いつかまた見たくなる、その魅力を。

◎宇宙、空間、山水、構造、超遠近。曲がって伸びてつながって。ひっくるめて奇想。

◎言葉 はあとからでいい。できたあとから言葉をそえて遊ぶ、愉快。

◎スケールの大きさ「大は小なり、小は大なり」!
 広大無辺を指向しながら、小さい絵にも宇宙を。ふたつはパイプでつながっている。

◎続ける。途中で捨てない。「連なり、積もり、重なり」は大きな存在へと変わるもの。

‥‥私には、描くことは生きることなのだ。