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奇人圖譜はじめ

〈奇人〉 人のようでもあり、人でもなし あれは9月 旅先の福岡、駅ビルのハンズにて手帳を購入 飛行機のシートに座るころには、ひとりめの奇人のイメージが頭上にフワフワ 離陸するまでに奇人ふたり、さっと描き上げてしまった(【新聞男】【乗り物屋】) ついで、羽田に着くまでにもうひとり(【果樹園児】) 旅のあいだ、私には仕事も本も携帯もネットもなく、日常がまっさらで 何にもない空間には、だいたい何かがヒョッコリやってくるもの 風向き上向きおあつらえ向き 描きたい気持ちがワクワクと湧く 一冊の無地ノート、一本のペン、が 奇人生成マシーンと化した 1ヶ月描けば30人、これで一冊 そう目論(もくろ)んで描きつづけ、結果51人まで描き加えてできあがり 電子ブックの『奇人圖譜』 (きじんずふ) -------------------------------------------------------- 私は「奇人」というテーマで絵を描いている。 「妖怪」ではない。 妖怪は、その背中に民族やら風土やらがある。歴史もある。 奇人は凡庸で、まだとても浅く薄い存在だ。 妖怪は稀人(まれびと)、奇人は凡人(おぼびと)、だろうか。 妖怪は人間と対を成しているようでもある。 奇人はそのへんにいる、私/あなた/だれか自身。 常識をひょいっと、めくったところに見えてくる。 その人らしさが見えてくる。 奇人は「ただいる」「あまねく」いる。 それは妖怪も奇人も同じかもしれない。

ライブ感想(オランさん、スマアトボーラーズさん他)

トビラを開けると、もう一枚のトビラ。二重の皮膜のむこうはもう音楽のマッス(固まり)。 入り口はなんとステージの脇で、ギクリとした。いったん外に出る。曲が終わるのを待って、こっそりと身をかがめ侵入。せまいカフェでのライブは、立ち見の盛況。人々は木々、音楽は葉々、つまり箱庭の森。 2組目、ニュー東京スマアトボーラーズさん。バイオリンにアコーディオン、フレンチな香り、だけじゃない。陽気さの中に切なさの影。クラリネット、ギター、ベースも。優しかったり頑固だったり、それぞれの主張をかき鳴らしていた。イメージはモナド。あと陽気な雨宿り。なんとなく。 3組目、Double Véさん。 がらっと空気が変わる。そこにあるボーカル 岳人さんの「我(が)」。 「暗い曲なんですけどどうしても歌いたいのでやります」。 この方の唄は、詩の朗読だなあと思う。ゴツゴツ、で繊細。昭和の雰囲気、エレジーも。言葉を追いこんで追いこんで、削りこんでいく。 4組目、ストリングス倶楽部さん。反転して、根っから陽気。酒を飲もう、陽気に歌おう。ブンチャッ、ブンチャッの2拍子が軽やか。ハギさん(ギター)とココロさん(サックス)のソロに圧倒されるも、全体絶妙なバランス。シナプスが指先にまで伸びてメンバー相互リンク、のような。楽器の洗濯板をなでる指先を見てそう感じた(格好はトナカイさんの着ぐるみ)。 3階の窓ガラスは湯気でくもる。ロックがあっという間に水割りに変わる。温度も湿度もタバコの紫雲もめいっぱいだ。 5組目のオランさんも「ここ空気うすいよー」。最後の曲はすごい勢い・速いテンポで終わった。私だったら酸欠で倒れるにちがいない。言葉がすごい。オランさんの歌は絵筆なのだと思う。たねの歌も、君の靴音も、見えない物を描き出す。二重に描き出す。歌詞の中と現実と。 この夜も音楽から血を分けてもらった。新しい出会いに感謝します。

月蝕に思う

12/10は満月の皆既月蝕。 「千年に一度」とか「500年に一度」「今世紀最後」あるいは 「19年に一度は似たような」・・・ネットを調べるもよくわからなかった。 ともかくも、めずらしい現象。 月蝕のピークでも月は黒くならず、 不気味に赤くただれた景色。 その赤は、太陽光線が地球の大気に屈折し、赤い光が少し月に届くためだという。 あの月はまるで、今の地球の鏡のようではないか。 月に映りこんだ我々の星の姿‥‥このアレゴリーは怖い。 「月蝕はパワーを与えてくれます!」そうなの?どうなの? 私はむしろ吸い取られた感じがしている。 金曜の夜から週明けまでも、うつうつとして 体も心も奇妙におもたっくるしい。 みなさんはどうですか? ラッキー・ハッピーですか? 月は、満ち欠けするし、反射された光だし、 いろいろと問題が多い気がする。物理的にも心情的にも。 たしかに月は好きだ。けれど私は油断できない友のように思っている。 あやつはきれいだが、どうにも怪しいし、妖しいのだ‥‥

空とぶ音

オランさんは言いました。 東久留米の空には、木琴が浮かんでるんです。 そう思う。 木目鳥さんがきっかけで、ライブハウスに行くようになった。 そうすると、対バン(競演者)の方たちが紡ぐ、新しい音との出会いがある。 先日のライブで。 ステージが暗転、最初がオランさん。アコーディオンが響く。 (リアルの音楽はすごい。あらためて感じる。) 一人目ってやりにくそうだな、と 思うまもなく、 無地の舞台が色とりどりの世界に染まっていくから、おどろく。 拡大鏡や、遠めがね。 野原や空を大きく写したり、遠くの方からから眺めたり。 自由自在に。 「耳から見ている」感覚。 (見えない糸もみつけるし、聞こえない音も聞いてしまう。) そしてオランさんのおっとりした話し方が、空気をほどいていく。 みなさん、だまし舟って知ってますか。 (しりません) 折り紙の、帆を持っていると舟、舟を持つとちがうよ帆だよっていう。 (ああ! なつかしい) 私たち観客は、オランさんのこしらえた舟に乗って、そのあと木目鳥さんや みなさんのパフォーマンスの海を、ゆらゆら流れていきましたとさ。