奇人圖譜はじめ
〈奇人〉 人のようでもあり、人でもなし あれは9月 旅先の福岡、駅ビルのハンズにて手帳を購入 飛行機のシートに座るころには、ひとりめの奇人のイメージが頭上にフワフワ 離陸するまでに奇人ふたり、さっと描き上げてしまった(【新聞男】【乗り物屋】) ついで、羽田に着くまでにもうひとり(【果樹園児】) 旅のあいだ、私には仕事も本も携帯もネットもなく、日常がまっさらで 何にもない空間には、だいたい何かがヒョッコリやってくるもの 風向き上向きおあつらえ向き 描きたい気持ちがワクワクと湧く 一冊の無地ノート、一本のペン、が 奇人生成マシーンと化した 1ヶ月描けば30人、これで一冊 そう目論(もくろ)んで描きつづけ、結果51人まで描き加えてできあがり 電子ブックの『奇人圖譜』 (きじんずふ) -------------------------------------------------------- 私は「奇人」というテーマで絵を描いている。 「妖怪」ではない。 妖怪は、その背中に民族やら風土やらがある。歴史もある。 奇人は凡庸で、まだとても浅く薄い存在だ。 妖怪は稀人(まれびと)、奇人は凡人(おぼびと)、だろうか。 妖怪は人間と対を成しているようでもある。 奇人はそのへんにいる、私/あなた/だれか自身。 常識をひょいっと、めくったところに見えてくる。 その人らしさが見えてくる。 奇人は「ただいる」「あまねく」いる。 それは妖怪も奇人も同じかもしれない。