まだ描いてないが もう描いてしまった絵

サマ式 山水画を描こうと思っている(いつも)。うねくる大地に、有象無象万象、こまこま描きこんだ大迷図。風景のマンダーラ、パノラマ大伽藍。絵の中に迷いこみ遊び呆けられる、永遠の空間。まさに桃源境、悦楽至極。‥‥のイメージが、私の頭の中には雲のごとくにわいているし、あなたもそうかもしれない。
これからそういう絵は描く。でも、なんだかもう描いてしまったかのような心地がする。ただ「表明」だけがあって、実際にはない作品 は、確かにある(ないけど、ある)。そういうものを満載した妄想博物館が、胎内から宇宙まで永遠にくり返す入れ子として、ここかしこ 宙をさまよっているのでございます。(と カルビーノ『見えない都市』を気取る)