震災絵『葬層』

線をつらねて、層をつらねて、思いをつらねて。
3日間、無言、祈り、集中の作業がおわった。
その絵のタイトルは「葬層」。
なくなられた御霊の数に、およぶだけの線を
私は引けたのだろうか。

描き始め、思いは心層に埋もれていたのだと思う、
急に涙があふれ出した。
描いても描いてもあふれて止められなかった。
本当の嗚咽だった。

下から描きはじめ、絵は一番上に、
朝陽を描き入れて出来上がった。
稚拙で、心のままで、私をぶつけただけの絵だ。
この気持ちを忘れないでいたいと思う。
そしてまた明日、新しい陽は昇る。

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2012年3月「アンデパンダン展」へ作品を搬入した。
今回出品する『葬層』はB1サイズの画幅。
最下層にはおしよせる狂った波々、を描いた。
次の層は、粉砕され一緒くたになった構成物が堆積する。
さらに大きく画面を引き裂く稲妻の白、それは悲しい音なき叫び。
やや上の層に原発4棟、そこから立ち上る不気味なうねり雲。
そして最上段の部分。
がれきの山が堆積し、ショベルカーの黒い影。
しかし、新しい日がのぼり、まだ弱々しげだが
柔らかな光が満ちてゆく‥‥
画面中央には、悲痛な表情の顔、大粒の涙を描いた。
この顔は、激しい線にまぎれていて、気づかれないかもしれない。
‥‥嗚咽にまみれて描いた部分だ。

その私の思いが今日、たくさんの方の作品の海へと渡っていった。
どうか無事展示され、多くの方々に見ていただけますように。

※搬入会場ではたくさんのボランティアの方たちが親切に作業をしておられました。心から感謝いたします。
※「第65回 日本アンデパンダン展」は3/22〜4/2 六本木国立新美術館にて。