オラン+サマ ライブ報告@ウッドストックカフェ

4月4日、やさしく素直にライブは始まった。
カフェの中だけ ぽかぽかと春めいて。
外の世界とはぜんぜん違う時間が、のっそりと流れ出す。
カフェが動き始めたのだ。

前日、オランさんからのメール。
「ふうわりとした音を出したい」と、ひと言。
‥‥そっか、まっさらでいくんですね。と 
私も余計な思考をピタッとやめた。
当日、たいした打ち合わせもなく、本番へ。

居心地のいいカフェ オランさんの「音」と「間」 
お客さんの気持ちのさざめき‥‥
全部がみるみる集まって、私を通って
筆先から流れ出る。すごいね。
私という全体が「透明なツール」*になる。

そして完成。どこにもない音、どこにもない時間、
どこにもない気持ち を閉じこめた絵がそこに。
それは、オランさんの「演奏記録」であり、
今宵この場の「全員の記憶」。居合わせた人たちだけの、特別なもの。秘密でない秘密(!)。



※まるで絵描きのシャーマンみたい。その場・その時・その人々すべてを「寄せて」+「絵にする」。
「寄せる」といえば「寄せては、かえす波」。絵を描くことは「かえす」こと。波はさざなみ(漣)。

その日、オランさんは 黒いスカートに白のカーディガン。清楚。
私は チューリップ帽子、太い黒縁メガネ、黒服。なんとも奇妙。
「今日は間(ま)を出しました」とオランさんはおっしゃった。緩・急 強・弱 に「間」。とらわれ・気づかいなく、自由自在に。ただ自分が自分であるようにと、エネルギーを注ぐ。たとえばアンコールの「くらげ」。アコーディオンを打楽器に変換、間でもって歌いきった。叩くんですよ?弾かないんですよ?‥‥圧巻!
ギタレレという小ギターでの演奏も、「間」のスパイスがゆったりと効いていた。とにかくこの日もすべては新鮮、しっとりとつややかにカラフルだった。
私は必死だ。曲に乗り、歌詞をひろって、絵の中にどんどん入れていく。歌詞にそって絵を描くと、お客さんの空気が反応となってすぐ伝わってくる。これは快感です。青い鳥、天使の気配、鳥のうんち、野に咲く花、夢、さかさまの夜空‥‥ すべて描いた。オランさんやカフェのご主人も描いた。あとはそう、お客の皆さんも もっと入れたかったな。
オランさんも私の絵を見ながら、雰囲気にひたりながら、曲を決め演奏を変えていったそう。「描かれていく絵に合わせて、即興で曲をひけたらいいのに」とも。つまり今回とは逆のやり方。できたらすごくいいと思う。夢はかなえたい。
さて ライブのあと。描きあがった絵に近寄り 皆さんが皆さんの気持ちを言葉にしてくださった。そんな言葉の「粒」はかがやいて、私の中にすうっと降りてきた。絵はいろいろな見方をされて、それで本当に完成した。
いま絵は自宅の寝部屋の壁に貼ってある。夢枕。もこもことした雲が気に入っている。
ライブでもっと絵を!と思う。その場かぎりの時間と気持ちを、絵の中に閉じこめたい。いろいろな人に、その場に来てもらい見てもらいたい。世界を巻きこみ、巻きこまれてもらいたい。グルングルンと渦巻く空間へ。