筆の身体感覚

筆を持つと、体の動きが変わる。
ペンは「書くか・書かないか」の「はっきりした閾(いき)」がある*。筆は「スッと入って、グッとぬける」ふわっとしてる。
筆を紙からはなすとき、心と体も紙の上からはなれる、という実感がある。だから紙の上に気持ちが残っているのがわかるし、描いた線が饒舌(じょうぜつ)になる。
筆を紙からはなす「出」に合わせて、なぜか体も余韻を求めるように動きたがる(!)。踊るようなその感覚を発見。それはライブ・本番!という緊張感・集中力のなかなればこそ。
さらに私の場合、ペンで描いたものは建築物(構成物)となり、筆なら 情緒・ゴースト・大気‥‥何かそんなものになる気がする。
*ペンは、描く瞬間にペン先に気持ちがいくけれど、そのあと描かれた線は置き去りにされる。