夜の散歩者。昼の

閑話休題。
夜の散歩は幻想的。私はたまに日暮れた住宅街へ出かける。

・宵闇はフィルター(ありふれた住宅街のラギッドネスを軟化してくれる。)
・街の多層性がシンプルに浮かびあがる。
・少ない明かりの存在感(明るさ、温かさ)
 「家」が「部屋という箱」を内蔵しているように見える。
・視覚情報がしぼられ、異世界感が増す。
今夜も歩いていたら、ロッジ風の家の壁色が、濃紺から真っ赤になっていて驚いた。夜目にもわかる、ぬらぬらとした赤。車庫に赤い車。まさかマイカー色に合わせたわけでもあるまいが‥‥
そういう発見・変化が面白い。見知らぬ方へと角を曲がりつづけて、少し迷子になった。

対して、昼の散歩はコレクターの目。私が探しているのは、
・不意に現れる雑木林
・豆腐ハウス
・ルパンビル
・廃屋(または寸前)
・Y字路の狭小住宅
・広い庭に竹林がある古い洋館
・『ある殺し屋』*のアパート
・私道公道空き地が入りまじった奇妙な空間

古びたコンクリート、当時はモダンだったろう奇妙な設計のビル、これにシュロの木。
たとえばそんな組み合わせが好きだ。(私的ノスタルジア。その源泉は不明だが。)

*『ある殺し屋』: 市川雷蔵主演の映画。DVDを検索したところ、奇遇にも今月発売。なぜかブルーレイではなく。