ザリガニズム

月の話で続けよう。

そもそも月のことをルナといい、ルナティックといえば狂気的という意味だ。
月明かりは人を狂わせるらしい。
満月の夜、醜いケモノに変身するという、人狼伝説もある。
月の女神はアルテミス(ディアナ)。狩りをし、純真潔癖で時に冷酷。
つまり月の印象は、物静かだが、ひいやりとして冴えざえしい。

もしあなたがよからぬことを考えて、こっそり成し遂げたとしても、
ハッとして見上げると、「月が見ている!」のだ。油断禁物。

タロットにも月のカードがある。これまた奇妙な一枚。
描かれているのは、月と城、犬と狼。そしてザリガニ。

ザリガニ? どうしてザリガニ? 不思議だ‥‥

このカードは「夢・まぼろし・不安」を象徴しているそうだ。
池からはいずり出ようとしているザリガニが、異様さをかもし出している。
そこで私も、カードを参考にしてひとつ絵を描いてみた。
鎧(よろい)を着たような月と、おぼろおぼろなザリガニの絵。


とまれかくまれ、諸兄におかれましても、月にはご用心ご用心‥‥

(*ザリガニは、スカラベに通じる意味合いもあるらしい。
スカラベとはフンコロガシのこと。古代エジプトでは死と再生の聖なるシンボル。
とすれば、月の満ち欠け、昇り沈み、天体の運行などのイメージにも合いますね。)