ハーメルン身悶え夜

先日、『イタチョコ座の怪人』第一夜 に参じた。
ライブハウスの舞台には、ラショウさんと4人の仲間たち。
セリフ劇の合間に、悲哀とユーモアの入りまじった歌が入るという構成。
途中、ラショウさん作のiPhone用ゲーム*の発表も含め、わざわざ神戸からの出張公演だ。

<あらすじ>
ある夜、俳優志望の女性が地下室の劇団にやってくる。
出迎えたのは、文字通り怪しげなイタチョコ座の怪人(ラショウさん)と、手作りロボットの助手。あきらかに女性の目的とはちがう劇団。しかし強引でとんちんかんな勧誘を受け、入団するはめに。
女性と助手は「鼠」役となって、今度はイタチョコ座の怪人をたぶらかす。鼠たちは怪人が作った「鼠格(鼠の人格)」を有し、しかも二役を都合よくクルクルと使い分けながら、怪人を「ハーメルン**」に仕立て上げる。その見返りとして、ふたりは際限なく怪人にお米をねだるが‥‥

劇中劇のハーメルンがいい。
となりの部屋から聞こえてくるミシンの音。自分もギターを弾いて、こっそり合わせてみる。そして売れ残りの「人形」たちの歌。椅子から立ち上がり身悶えるジェスチャー、叫ぶような歌声。狭い空間にはもったいない。広い舞台があればいいだろうになぁと思わせる、ラショウさんの熱演。
すべては夢か?幻か?
現実の地下のライブハウス / 架空の「イタチョコ座」 / ハーメルンの部屋、ラショウさん / イタチョコ座の怪人 / ハーメルン、劇団員のふたり / 二匹の鼠 / 人形・ものたち。これらと、劇中劇も折りこまれて、すべてが二重三重に張りめぐらされた奇妙な幻想空間。
入れ子の空間を演出しきったラショウさん、素敵な共演者とともに、満足だったのではないだろうか。
「ぬぅぬぅ、はい!」(縫う縫う、針) 
くねるように歌う姿がよかったなぁ。
*イタチョコシステム『あの素晴らしい弁当を2度3度』と、もう1本。2月にリリース予定とのこと。
**童話『ハーメルンの笛吹き男』より。不思議な男が笛を吹いて、たくさんの鼠をあやつり街から追い出す。